狼を飲み下した羊

夜に塗れた狼の記憶 眠れ眠れと叫ばれるまま
抱き疲れた偽りの夢を 君が居るからまだ繋げる
「忘れないでよ」と

今走り抜け出せ 夢輝く空
君の手が掴む世界は 僕と共には無い


朝日が焦がす羊の体温は 幾度醒めても冷めないまま
飲み下した離別の手の平 君は最後の時笑った
「またあとでね」と

ただ辿り続けて 遠く響く意思
君に伝う記憶だけが 私と共にある


屈折反射を浴びながらの再会は
どこか壊れたままで
抑えたはずの狼に侵食されていて
抱擁を望みながら牙を向ける
忘れなかった約束を果たした
君へ捧ぐ遠吠えはこれで
終りにするよ


ただ巡り貫け 願う彼方の空
吐き出した嘘も現実へ 在るようにと
今走り抜け出せ 夢輝く空
君の手はもう離さないよ もう一度帰ろう
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