お前は自傷の道具


足りない足りないその指を 
付け足したら怒るだろうか
生まれ間違う花のように
ひろひらさいてはおちる

迷いの無い目に鈴蘭を
死んだところで泣きはしない
空を知らぬ子猫のように
ひたひたついてはこぼす

抱え抱え隙間へ流れ
受け止められないと知る腕

ああ灰皿に押し付けた自傷の道具
馬鹿げた約束に依存していると自覚した
安売りされる仕草が
首を絞めていく


鈍くしたるその熱を
踏みつけたら怒るだろうか
理解澄ます灰のように
かわしたことばがおちる

解れ別れ剥がした指へ
告げる声が孕む感情

ああ投げ捨てる変わらない自傷の道具
さよなら約束は聞かずとも答えられない
閉じる扉の背後で微か

ああ灰皿に押し付けた自傷の道具
馬鹿げた約束に依存していると自覚した
安売りされる仕草が
首を絞めていく
inserted by FC2 system